りじちょー

一般社団法人十日町青年会議所 

第65代理事長 庭野 克弥

【スローガン】

  感謝

【基本理念】

あらゆる物事を前向きに捉え、明るい豊かな越後妻有を創造しよう!

【はじめに】
 ありがとう。人から人へ感謝の気持ちを伝えるこの言葉には大きな力があります。感謝の気持ちをはっきりと相手に伝えることでその相手との信頼関係が強まり、より良い人間関係を築くことができます。また、あらゆる困難や課題でさえも、この言葉を口にすることで感謝の気持ちを持つことができ、成長の機会として前向きに捉えることができます。
 十日町青年会議所(以下、JCI十日町)の第65代理事長を拝命するにあたり、今日に至るまで英知と勇気と情熱をもって明るい豊かな社会を築き上げるという信念を貫き通し、JCI十日町の活動・運動を繋いでこられた先輩諸氏に対しまして敬意と感謝の意を表し、「ありがとう」と申し上げさせていただきます。
 そして、このJCI十日町の活動・運動は、この地域の皆様のご理解、ご協力のお蔭で今日まで継続することができました。この地域の皆様に対しましても敬意と感謝の意を表し、「ありがとう」と申し上げさせていただきます。
 これからもJCI十日町が越後妻有を明るい豊かな地域にするために、私たちは関わる全ての方々に対して感謝の気持ちを持って率先して行動していきます。

【明るい豊かな越後妻有へ】
 新しい技術の発明は社会を大きく変化させてきました。18世紀末の蒸気機関や石炭を動力源とした機械の発明は第1次産業革命を起こし、世界に機械化、工業化の波を起こしました。19世紀後半には石油や電力を用いることで大量生産化をもたらした第2次産業革命が起こり、20世紀後半には、コンピュータ技術の発達により単純作業の自動化をもたらす第3次産業革命が起こりました。そして今、AI、IoT等の技術によって高度な知的活動の自動化をもたらす第4次産業革命を迎えようとしています。これは、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く第5の文明刷新で仮想空間と現実空間の融合を目指す「Society5.0」でもあるとされています。
 また近年、コンピューターゲーム、ビデオゲームなどをスポーツとして捉えるeスポーツが世界を沸かせています。そして昨年、この世界に大きな影響をもたらした新型コロナウイルス感染症の拡大によって、社会は通信技術を活用したコミュニケーション、所謂ICT化へ向けた動きがより一層加速しております。身体能力に関係なく多くの人が取り組めるこの新しいスポーツは、ICT化推進に伴って地域の魅力を創造する大きな起爆剤となる可能性を秘めています。
 こうした変化を皆が前向きに捉え「変化に対応する力」を養うことで、明るい豊かな越後妻有の創造に向け前進していけると考えます。その力とは、答えが決まっている問題を効率的に解く力だけではなく、大量の情報の中から必要なものを取捨抽出し、自ら課題を設計する力、生涯に渡り学習し続ける力であると言えます。産業に留まらず社会・文化・暮らしのあらゆるシーンに変革をもたらしうる技術発展を前に、どう向き合い、変化に対応する力をどの様に養うのか、先ずは私たちが率先してその解決策を検討、模索します。そして感謝の気持ちを持って行政・企業・団体・個人と連携し、この地域の方々が変化を前向きに捉え行動できるような機会を創り出します。

【他人事から自分事へ】
 今年は十日町市において首長選挙が行われます。2016年の公職選挙法一部改正により、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられました。しかし、若年層の投票率はこの地域における最近の選挙で30%前後と依然として低いままであり、政治への関心の薄さが見て取れますが、投票率における伸びしろが大きいとも捉えることができます。選挙は単純に代表を決めるだけではなく、年齢別の投票率によっては大事な政策に影響を与えることがあり、決して他人事としてはいけないと考えます。今日投票の機会が皆に平等に与えられていることに感謝し、一人ひとりが主権者として自ら考え、判断しなければならないという自覚を持つことが大切です。そのために、この地域に住む方々で特に10代から30代の若者の意識を啓発し、最も重要な政治参画である投票を促すことで、この地域の発展に繋げます。

【こまめな情報発信と円滑な会議運営】
 JCI十日町は魅力溢れる郷土を目指し、仲間と共に成長できる団体です。では、具体的にどんな人がいて、どんな思いで何を行っている団体なのか。と聞かれると一言で表すことはできません。越後妻有を明るい豊かな地域にし、私たちも成長するためには、その地域に住む方々に私たちが行っている活動や運動、そして所属している会員について知っていただき、理解を得る必要があります。そのためにはこまめな情報発信が欠かせません。私たちが実施する事業については勿論、勉強したことや様々な会議の様子などをお伝えする必要があります。近年は通信技術の発達や携帯性が高く高機能な端末の普及などにより誰もが情報の発信者になることができるようになりました。利便性と共に危険性も高まっている
ことも考慮に入れながら、既存の手法の改善や新たな手法も検討、模索して効果的に発信します。更に、地域の方々のお蔭で活動・運動ができていることへの感謝の気持ちもしっかりとお伝えします。
 また、「青年会議所」という名前が示す通り私たちの活動の中では、多くの会議の場があります。これらにつきまして、会員が活発な情報・意見交換が行えるよう、また会員にとって有意義な時間となるよう、円滑な会議の設営・運営を行います。このことによって全会員が会議を重要な場として前向きに捉えられるよう努めてまいります。

【感謝の気持ちで繋ぐ十日町雪まつり】
 越後妻有は国内有数の豪雪地帯です。年間降水量の約半分が12月から3月に集中しており、毎年の積雪量は2mを超えます。また、1年の3分の1が根雪期間となり、冬期間における地域住民の日常生活、経済活動に大きな影響を及ぼしています。その一方で雪は美しい風景をもたらし、爽快なウィンタースポーツを可能とし、またミネラル豊富な雪解け水は田畑を潤す恵みになるなど、多くの恩恵も与えてくれます。このように越後妻有に住み暮らす方々は、古くから雪と苦楽を共にしております。その中で雪を辛く厳しいものと認識するのではなく「雪を友とし、雪を楽しむ」という地域住民の自発的な思いから生まれたのが十日町雪まつりです。本年度72回目を迎えるはずであった十日町雪まつりは残念ながら中止となりますが、今まで困難とされていたものを前向きに捉え、雪まつりを
生み出した先人たちの情熱、そして現代の雪対策に捧げていただいた先人たちの知恵と努力に対して感謝の気持ちを持って、十日町雪まつりの創始の思いを未来へ繋げていく必要があります。
 JCI十日町が主管してきた十日町雪まつりの「コミュニティひろば」は1975年から先輩諸氏から連綿と受け継がれ、今年度で46回目を迎える予定でした。これだけの回数を重ねている事業ではありますが、毎年何かしらの困難や課題が生じます。そんな時こそ前向きに一丸となって一つひとつ解決していくことで全会員の資質向上と結束を深めることに繋がります。また感謝の気持ちを持って多くの関係者・協力者と連携し、地域の方々は勿論、設営・運営する私たちも明るい笑顔になれるよう、十日町雪まつりが未来へ繋がっていく事業を展開します。

【生きる力を育む相撲】
 変化の激しいこれからの社会に備えるための「生きる力」を子どもたちの中に育むことはかねてより重要視されていますが、相撲という競技はこの「生きる力」を育むことにとても適しています。相撲は身体一つで行う競技であるため、心技体の充実が特に必要です。相手を思いやり相手に感謝する「心」、自ら考え行動する「技」、健康・体力の増進に繋がる「体」、これらが「生きる力」の育成に繋がります。
 また、日本の文化に深く根ざした相撲は古来より神事としても行われ、いつも人々の生活とともにありました。この地域においてもそれは例外ではありません。1980年頃に子どもたちの健全育成を目的として、十日町相撲連盟様の自発的な動きにより地域の各小学校へ数多くの土俵が設置されました。その土俵を使った相撲の指導を通じて、児童が普段から相撲に親しむ土壌ができ、過去35回行われたわんぱく相撲全国大会に27回出場するなど好成績をおさめています。
 相撲という競技がこの地域の宝である子どもたちの成長にとって必要で、古くからこの地域に根ざす文化であるからこそ、JCI十日町はわんぱく相撲十日町場所を1985年から2019年の35年間、途切れることなく継続してきました。残念ながら昨年は新型コロナウイルスの影響で中止を余儀なくされましたが、最後まで関係者と共に開催を諦めませんでした。このことを前向きに捉えて決して途切れることのない思いを胸に、来年に控えた十日町開催の県大会も見据えながら36回目となる「わんぱく相撲十日町場所」を開催します。

【災害発生は待ったなし】
 私は30歳の時にこの越後妻有に帰って参りましたが、正にそのとき当地域は「平成23年7月新潟・福島豪雨」に直面しておりました。その影響により移動の際、帰路の一部が通行不能となっており、止むなく迂回をしたという出来事を今も鮮明に記憶しています。近年、日本国内において50年に一度と言われる豪雨災害が毎年の様に発生しています。そして、日本は世界有数の地震多発地帯であり、全世界において発生したマグニチュード6以上の地震の約2割が日本国内にて発生しております。いつ襲いかかってくるかわからない地震や大雨などによる大規模な自然災害に対し、過去に起こった災害を教訓とし、前向きな気持ちで今後の更なる防災・減災の強化に繋げていくことが重要であると考えます。
 新潟県中越地震発生から10年の節目にあたる2014年、JCI十日町・社会福祉法人十日町市社会福祉協議会様・特定非営利活動法人セーフティネットぼうさい様の3団体で、越後妻有防災ネットワーク協議会を締結しました。この締結の際には、災害が発生した際に地域住民の安全を守るため相互協力し円滑運営に努め連携することや、地域住民の生命・財産を守るための防災・減災意識向上に向けた事業を年最低1回は行うことを目標としました。本協議会は、掲げた目標を遵守し、毎月定例会などを行いながら連携強化に努めています。また、2014年と2015年には越後妻有交流館キナーレ、2016年から2020年にかけては地域の小・中学校にて防災・減災意識向上に向けた事業を展開してまいりました。
 今年度で締結から8年目を迎えますが、これまで共に歩んでいただいた関係団体の方々に感謝し、私たちJCI十日町は協議会の一員として先頭に立って、この連携を更に強化します。また、地域の方々に対して防災・減災意識向上のための事業を行って、安心して暮らせる地域になることを目指します。

【会員拡大と成長は組織の使命】
 JCI十日町は、1957年5月15日、国内で115番目、県内では3番目の青年会議所として誕生しました。設立当初は12名の青年たちの集まりでしたが、瞬く間に仲間を増やし、その年には26名の会員数になったと伝えられています。地域に良い影響を与えるために様々な活動・運動を展開しながら、共感してくれる仲間を募っていったのではないかと思います。以来、今日に至るまで多くの入会者を迎え入れて参りましたが、会員数が全国的に減少している中、私たちJCI十日町においても例外ではなく、10年前の会員数と比較すると約4割にまで減少しました。少人数になったことで会員一人ひとりの距離が近くなっていると感じますが、仲間が少なければ私たちが行う活動・運動に制限が生じ、地域の方々に私たちの声が届きにくくなるなど様々な弊害に繋がります。故に40歳までしか在籍が許されない青年会議所において、会員拡大に終わりはなく、私たちの活動の根幹であると共に永遠の課題でもあります。この事実を会員全員で共有し、本年度においても会員拡大は全員の役割であることを組織全体へ向けて提唱します。そして私たちJCI十日町が行う活動・運動に共感し共に歩んでくれる若者を多く見つけ、感謝の気持ちを持って迎え入れられるよう、持続可能な拡大運動を行ってまいります。
 更に会員拡大と同様、会員の資質の向上も必須と考えます。青年会議所として活動を行えるのは、20歳から40歳という限られた期間だけであり、この期間は青年経済人として世代交代や事業承継、更なる発展を控えた最も重要な時期になります。この時期に学びが得られることに感謝し、学び舎である青年会議所において会員は勿論、新たな仲間になりうる方々にも多くの学びを得てもらい、個人の成長や企業の発展に繋げます。
 以上のように、全会員共通の重要事項として会員の拡大と資質向上に取り組み、この地域とJCI十日町の発展を目指します。

【結びに】
 私の家業は電気工事業です。この地域で住宅や工場、公共施設などに照明器具やコンセントを設置し、明かりを灯す仕事をしています。そんな自分が明るい豊かな社会の実現を目指す団体であるJCI十日町に入会したことは必然であったと今にして思います。そして、今までこのJCI十日町で様々な活動・運動をさせていただき、多くの学びを得て成長することができたと実感しています。このことに対しまして関わっていただいた地域の方々、先輩諸氏、そしてこれからも一緒に歩んでくれる仲間に「ありがとう」と申し上げさせていただきます。
 青年会議所は同じ志を持ちながらも、異なる職種・個性を持った青年が集う団体です。私たちが、日頃から唱和している「人間の個性はこの世の至宝」という言葉の通り、会員の個性は青年会議所にとっての至宝であり、かけがえのないものです。会員の個性が輝き、あらゆる物事を前向きに捉え、感謝の気持ちを持ってお互いを支え合い、誰もが貢献する。その様な素晴らしいJCI十日町を皆で目指し、明るい豊かな越後妻有を創造していきましょう。